宝石の鑑定や査定はお店によって大きくお値段が違ってきますよね。
場合によっては2~3倍ほどもお値段に差が出てきます。
なぜお店によって値段の差が出るのでしょうか。
宝石鑑定のカラクリを見ていきましょう。
宝石の王様ダイヤモンドの評価基準に4Cというものがあります。
重要な4つの評価基準の頭文字がCから始まる事で「4C(よんしー)」と呼ばれています。
・キャラット-Carat-(重さ)
・カット-Cut-(形状)
・カラー-Color-(色)
・クラリティ-Clarity-(透明度)
それぞれの評価には10を超える明確な基準があり、それぞれを完璧に見極める事は査定歴10年以上のベテラン鑑定士でも至難の業です。それゆえに、知識や経験の浅いスタッフはこれらの4C評価を低く見積もるしかなく、高い金額を提示する事ができないのです。
宝石の多くは美しい色味を出す為に人の手が加えられています。人の手が加わっていない宝石は市場で流通しているのはまれで、アクセサリーとして世に出回っているもののほぼ全ては人の手が加えられているといっても良いでしょう。その中でも、宝石の価値を落とさない加工、やや価値が落ちてしまう加工、宝石としての価値が無くなる加工があります。
・人工石
その名の通り、人工で作られた宝石です。古くはガラスを色付けしたものから、最近では天然のものと成分もほぼ同じ人工石が使われています。宝石としての価値は無く、査定時は減額の対象となります。
・トリートメント
人で言うところの整形手術を施したものです。宝石の周りにコーティングを施し美しい色味を出したものや、宝石の中にある天然の内包物を除去したものがこれにあたります。宝石としての価値は低く、査定時は減額の対象となります。
・エンハンスメント
人で言うところのお化粧を施したものです。宝石に高熱を加え美しい色味を出したものや、内包物に無色のオイルを流しきらめきを出したものがこれにあたります。
・ナチュラル
人工石でもなく、トリートメントやエンハンスメントも施していないほぼ天然の宝石を指します。宝石の価値は非常に高く、市場に出回っている数も少なくとても希少です。宝石の価値としては非常に高く、査定時は数十万円から数千万円と目が飛び出るような高額になる事もあります。
これらは高性能な査定機械を所持しており、長年の査定経験がないと見極めは不可能です。多くの買取店では査定機械を所持しておらず、宝石の鑑定ランクを著しく低く見積もっているのが現状です。
エンハンスメントやナチュラルの宝石は産地が大きく値段に関わってきます。たとえばルビーであればミャンマー、スリランカ、ベトナム、カンボジア、タイ、タンザニア、モザンビーク、マダガスカルと様々な採掘所がありますが、特にスリランカでとれる鳩の血の色をしたピジョンズブラッドルビー、ミャンマーのモゴックでとれる非加熱のピジョンズブラッドルビーなどは信じられないくらい高額で取引されます。
2014年に8.6ctほど(中指の爪ほどの大きさ)のモゴック産ルビーが約10億円で落札され業界では話題になりました。
この産地鑑別に関しては専門の機械を使用しないと判別が難しく、その道何十年の専門研究機関であっても間違える事があります。また、数多く存在するリサイクルショップや質屋、買取店では知識が豊富なスタッフも少なく、産地鑑別の重要性を広く知られていないという現状もあります。
良い宝石にはよい貴金属が使われています。例えばプラチナですとPt850、Pt900、Pt950、Pt999とありますが、最高級の宝石につかわれる金属はPt900かPt950が殆どです。
同じように金(ゴールド)の場合、主要なところでK10、K14、K18、K22、K24とありますが、最高級ジュエリーではK18が殆どです。
リサイクル業界の盛栄で知識あるスタッフが不足している中、K18やPt900、Pt950についている宝石を正しい査定ができるお店はほんの一握りといって良いでしょう。